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C型肝炎について

  「肝炎」には、アルコールが原因になるものと、ウイルス感染が原因になるものがあります。日本人にはウイルス性の肝炎が圧倒的に多いのですが、原因となる肝炎ウイルスにはA型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスなど、いくつかの種類があります。このうちC型肝炎ウイルス(HCV)の感染によって起こるのが「C型肝炎」です。
  HCVは血液を介して感染しますが、感染してもすぐに発症するわけではありません。
  侵入したウイルスは、体の中に潜み、いわば人間とウイルスの共存状態をつくります。このような、感染はしているが発症していない人のことを「キャリア」と呼んでいます。
  キャリアかどうかは、血液検査で血液中にC型肝炎ウイルスに対抗してつくられた抗体(HCV抗体)があるかどうかによって調べられます。
  キャリアといわれても必ずしも発症するわけではなく、なかにはキャリアのまま一生を過ごす人もいます。しかし「体の抵抗力が低下する」「身体的な疲労が重なる」など、何かがきっかけになり潜伏していたウイルスが急激に増殖を始めると、C型肝炎を発症させる危険があります。
  C型肝炎ウイルスの増殖によって肝炎が起こるのは、体に備わった「免疫」のシステムが働くためです。免疫とは、ウイルスなど体外から侵人する外敵を排除しようとする体の防御機構のことをいいます。C型肝炎ウイルスに感染してウイルスが肝細胞に入り込み増殖すると、免疫システムが働いてウイルスの入り込んだ肝細胞を攻撃し、その結果、肝細胞自体も破壊してしまいます。
  肝炎で怖いのは、肝細胞の破壊が長期的に続いてしまうことです。炎症が慢性化し、肝細胞の破壊が繰り返されると、肝臓の組織が線維状に変性し、「肝硬変」という肝臓の機能が極度に低下した状態に陥ることがあります。肝硬変は肝臓がんへ移行する率がたいへん高いため、肝炎を肝硬変にまで進行させないことが、最も大切になります。
  C型肝炎ウイルスに感染した後、急性肝炎を起こした人の中で70%もの人が慢性肝炎に移行し、また急性期を経ずにそのまま慢性化してしまう人もかなり多く見られます。
  C型肝炎は急性期には疲労感、食欲不振といった症状が現れますが、それもごく軽く、見逃してしまうことがあります。人によっては無症状の場合もあります。ましてや慢性になるとはとんど自覚症状がありません。
  そのため、肝硬変になって初めて気づくことも多いのです。
C型肝炎の経路図
  C型肝炎のキャリアとわかった人は、まず肝炎や肝硬変がすでに起きていないかを調べることが必要です。血液検査、超音波検査、CT検査などによって肝臓の機能や形状をチェックします。肝臓に異常がないとわかったら、あとは半年に1回、定期的に血液検査を受けてください。
血液検査では血液中のGOTやGPT、γ-GTPという酵素の量を調べます。これらの数値が上昇すると肝臓に障害の起こっていることがわかるのです。
 
  これらの数値で発症がわかったら、肝生検で慢性肝炎活動型であることを確かめてからすぐに治療が開始されます。
  現在治療にはインターフェロン※ が用いられます。インターフェロンは肝炎が発症した初期に最も高い効果を示します。初期のうちに的確な治療を行えば50~60%の人に有効です。
  進行した肝炎では「強力ネオミノファーゲンC」※ という薬が用いられます。しかしこの薬はあくまで、進行を食い止める作用しかないのでインターフェロンの効果が高い初期のうちに治療しておくことが非常に重要になります。
  キャリアの人にとって定期検診が重要なのは、潜伏していたウイルスが増殖し発症した時期を的確に捕え、発症初期に有効な治療を行うためです。もっとも、C型肝炎は10年~20年という長期間を経て進行していくので、初期といってもかなり時間的には余裕があります。
  したがって、半年に1回検査を受けるとよいでしょう抵抗力を落とさない工夫を徹夜や多量飲酒は厳禁です。
 
  潜伏しているC型肝炎ウイルスがどのようなきっかけで増殖を始めるのかは、まだ明確ではありません。しかし、体力が落ちているとウイルスに対抗できずに発症しやすいことは確かです。キャリアの人は抵抗力が落ちないようにすることが発症を防ぐために大切だといえます。
  風邪などの病気をこじらせないようにし、徹夜や仕事のしすぎ、激しい運動などで体力を消耗しなしようにします。十分な睡眠と休養をとるよう心がけましょう。
  お酒の飲みすぎも抵抗力を弱めるほか肝臓の障害を促進してしまうので、キャリアの人は飲酒を控えてください。お酒を飲む場合にもビールコップ1杯程度に控えておきましょう。
  そして、半年に一度の定期検診を、忘れずに受けてください。
 
  一方、キャリアの人は周囲の人に感染させないよう注意することも必要です。C型肝炎ウイルスは血液を介して感染するので、切り傷や、歯ぐきの出血からの血がついた歯ブラシ、女性の場合は生理のときなど、自分の血液は自分できちんと処理する習慣をつけてください。また血に触れた手はよく洗っておくようにしましょう。
 
  ただ、C型肝炎ウイルスは感染力が弱く、感染経路は血液だけですから、日常生活ではそれほど神経質になることはありませ。性交での感染や母子感染もまず心配ありません。キャリアといわれると発症の不安を抱えることになりますが、肝炎の進行はゆっくりしているので、あわてずに、しかも定期検診を欠かさずに経過を見守るようにしましょう。

●輸血経験のある人は検査を

  C型肝炎の検査法が確立されたのは5年前(1996年)です。それ以前の輸血では感染をチェックできなかったため、輪血後感染がかなりあったと思われます。最近の輸血は問題ありませんが、検査法が確立される以前に輸血の経験をした人は一度HCV抗体の検査を受けておくことをお勧めします。

※インターフェロン

  生体中にある免疫に関係する物質を人工的に増殖させたもので、リンパ球に作用してウイルスの増殖を抑える効果があります。週3回ほどの注射を繰り返して治療します。高熱やだるさなど風邪に似た症状が一般的に見られますが、そのほか、うつ病などの副作用が出ることがあります。

※強力ネオミノファーゲンC

  漢方薬に用いられる甘草には、グリチルリチンという物質が含まれています。この物質を主成分とした薬で、肝細胞の膜を強化し、血中GOT・GPT値を低下させる働きがあります。
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